霊気紛争フレイバー・レビュー(翻訳)(前編)
霊気紛争フレイバー・レビュー(翻訳)(前編)
霊気紛争フレイバー・レビュー

John Dale Beety
2017年1月24日

やあみんな! 久しぶりに記事を書くということもあり、僕の最近の2つの小説、「A Tile In The Mosaic」※1と「A Footsoldier’s Confession」※2に意見をくれたみんなにお礼を言いたい。こうした短編を試してからしばらく経ったが、人受けか僕の自己満足か、もしくはそれ以上のものを感じてくれたなら幸いだ。

さて今回はというと、霊気紛争の話だ。

※1……http://www.starcitygames.com/article/34164_A-Tile-In-The-Mosaic.html(A Tile In The Mosaic)
※2……http://www.starcitygames.com/article/34235_A-Footsoldiers-Confession.html(A Footsoldier’s Confession)

注目のストーリー

大まかなストーリーの流れとして、今やテゼレットの《慮外な押収/Confiscation Coup》は達成された。

慮外な押収/Confiscation Coup  (3)(青)(青)
ソーサリー KLD, レア
アーティファクト1つかクリーチャー1体を対象とする。あなたは(E)(E)(E)(E)(エネルギー・カウンター4個)を得る。その後あなたは、そのパーマネントの点数で見たマナ・コストに等しい数の(E)を支払ってもよい。そうしたなら、それのコントロールを得る。

「市民の皆さん、抵抗はお止めください。あなた方の安全のためです。テゼレット審判長の命により発明品を押収します。直ちにです。」
Illus. Joseph Meehan


彼はカラデシュを実効支配しており(それともギラプール市内のみだろうか? 政府の権力がどの程度なのかは全くわからない)、巨大な《次元橋/Planar Bridge》を創造するために労力を注いでいる。何らかの……理由で。

次元橋/Planar Bridge  (6)
伝説のアーティファクト MPS, スペシャル
(8),(T):あなたのライブラリーからパーマネント・カード1枚を探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。

「ラシュミの設計は始まりにすぎない。我々は大領事の計画の全貌を知ることを熱望している。」
――領事府の技師の記録
Illus. Raymond Swanland


当然ながら、カラデシュの発明家たちはその計画に不満を持っている。領事府は戒厳令と弾圧によってそれに応じた。

領事府の弾圧/Consulate Crackdown  (3)(白)(白)
エンチャント AER, レア
領事府の弾圧が戦場に出たとき、領事府の弾圧が戦場を離れるまで、対戦相手がコントロールするすべてのアーティファクトを追放する。

「作業場はどこも静まり返っている。作品も奪われてしまった。領事府は、私たちの命を奪ったようなものだわ。」
――ピア・ナラー
Illus. Jonas De Ro


もはや「改革派」レジスタンスの象徴として有名になったピア・ナラーは、霊気紛争のリーダーとなった。おかしなことに、彼女の個人主義への情熱を祝福するはずのシーンは、共産主義のプロパガンダのイメージを借りて表現されている(工業的発展を象徴する歯車、ハンマーを振るう女性)。社会主義リアリズム※3そのものというわけではないにせよ、大きなサイズ※4で見ると隠れた細部が明らかになり(ピアの表情、服の装飾、武器あるいは道具)、それが奇妙な効果をもたらしていることがわかる。

ピアの革命/Pia’s Revolution  (2)(赤)
エンチャント AER, レア
トークンでないアーティファクトが1つ戦場からあなたの墓地に置かれるたび、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーが「ピアの革命はそのプレイヤーに3点のダメージを与える」を選ばないかぎり、そのカードをあなたの手札に戻す。

ピアの情熱は大局を目指している。真実の永続性のある変化をもたらすことだ。
Illus. Clint Cearley


※3……https://www.google.com/search?q=socialist+realism&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjt0prCt9XRAhVEzIMKHe_PDekQ_AUICCgB&biw=1920&bih=971
※4……http://68.media.tumblr.com/20edaba7cf62512421d76162f36d4df6/tumblr_ojdcupRYoJ1u9beo8o2_1280.jpg

一方、ゲートウォッチという名のスクービー・ギャング※5もカラデシュの問題に巻き込まれている。チャンドラ・ナラーは、おそらく処刑人である、打ち消しを用いる宿敵、バラルに公然と容赦無く嘲られ、言い負かされてほとんど自暴自棄になっている※6

不許可/Disallow  (1)(青)(青)
インスタント AER, レア
呪文1つか起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。(マナ能力は対象にできない。)

「お前の炎を消す程度、造作もない。」
――遵法長、バラル
Illus. Min Yum


※5……「バフィー 〜恋する十字架〜」の主人公、バフィーとその仲間たちの通称。
※6……http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0018216/(業火/Burn)

Magic Storyのコラムでは残りの注目のストーリー・カードについて触れていないが、大筋は書いてある。《橋上の戦い/Battle at the Bridge》は、《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer》との対決のクライマックスを描き……

橋上の戦い/Battle at the Bridge  (X)(黒)
ソーサリー AER, レア
即席(あなたのアーティファクトが、この呪文を唱える助けとなる。あなたはあなたのアーティファクトをタップして、1個あたり(1)の支払いに代えてもよい。)
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-X/-Xの修整を受ける。あなたはX点のライフを得る。

「巨大だぞ。お前たち全員を合わせたよりもな。」
――テゼレット
Illus. Chris Rallis


……そして《闇の暗示/Dark Intimations》は、テゼレットの悪人然とした独白が何かの手先であると匂わせる理由を示している。《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》が背後で糸を引いているのだ。

闇の暗示/Dark Intimations  (2)(青)(黒)(赤)
ソーサリー AER, レア
各対戦相手はそれぞれ、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げ、その後カード1枚を捨てる。あなたは、あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚かプレインズウォーカー・カード1枚をあなたの手札に戻し、その後カードを1枚引く。
あなたがボーラス(Bolas)・プレインズウォーカー呪文を1つ唱えたとき、あなたの墓地から闇の暗示を追放する。そのプレインズウォーカーは忠誠(loyalty)カウンターが追加で1個置かれた状態で戦場に出る。
Illus. Chase Stone


しかしながら、これら5枚のカードだけがストーリー上の場面を描いているわけではない。たとえば《ヤヘンニの巧技/Yahenni’s Expertise》は、ヤヘンニが本当の革命を後押しするためにできることを示している。

ヤヘンニの巧技/Yahenni’s Expertise  (2)(黒)(黒)
ソーサリー AER, レア
ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-3/-3の修整を受ける。
あなたは、あなたの手札から点数で見たマナ・コストが3以下のカード1枚を、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。

「領事府が私を追い込んだのよ、あなた。その結果が、これ。」
Illus. Daarken


また、《次元橋/Planar Bridge》については話したが、これもフレイバー・テキストで明確なストーリー上の場面を表している。しかし、どういうわけか注目のストーリー・カードには選ばれていない。

次元橋/Planar Bridge  (6)
伝説のアーティファクト AER, 神話レア
(8),(T):あなたのライブラリーからパーマネント・カード1枚を探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。

「完成だ。ここからが本番だぞ。」
――テゼレット
Illus. Chase Stone


この記事を書いている時点ではストーリーは完結していないが、これまでのところ、物語のそれぞれの視点(チャンドラと母との再会、バラルを打ち砕くという目的、テゼレットを打倒しようとするゲートウォッチ、政府に変革を求めるカラデシュの改革派)はうまく結びつけられているとはいえない。実際、この紛争はゲートウォッチのものなのだろうか? それとも改革派のものなのだろうか? さらにいえば、これは改革派の闘争なのだろうか? それともテゼレットの支配を転覆させようというゲートウォッチの大騒ぎなのだろうか?

そして、そもそも改革派は「霊気を我らの手に」という行動宣言以上のことをするのだろうか?

霊気紛争は現実の20世紀の革命運動から多くを得ている。「ソ連的」な様式の《ピアの革命/Pia’s Revolution》に加え、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》の含みのあるフレイバー・テキストもそれにあたる。

ならず者の精製屋/Rogue Refiner  (1)(緑)(青)
クリーチャー ― 人間・ならず者 AER, アンコモン
ならず者の精製屋が戦場に出たとき、カードを1枚引き、あなたは(E)(E)(エネルギー・カウンター2個)を得る。

「自然に、身の回りに、いくらでもあるのさ。まぁ試してみて。何か問題があったら言ってよ。」
3/2
Illus. Victor Adame Minguez


このフレイバー・テキストに書かれた、カラデシュの大気から霊気を集めることに関する議論は、海における塩と強く共鳴している。

海塩は、インドを含む海岸線の人々によって数千年にわたって集められてきた。しかし18世紀に、イギリスの入植者たちは塩の販売を独占しようとし※7、塩の密輸人や他の脱税者を足止めして捕まえるための、数千マイルという長さに数千人の警察官を配置した「インドの巨大な生垣※8」を建造した。1930年のマハトマ・ガンディーの塩の行進※9では、市民的不服従の形で、無税ゆえに違法の塩を海岸線から集めるため、公の(あるいは公にされた)数週間にわたる徒歩の移動が行われたが、これはインドにいた人々だけではなく未来の非暴力抵抗運動のリーダーたちの模範にもなった。その最も顕著な例が、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア※10である。

とはいえマジックのゲームは非暴力とはかけ離れており(「戦闘フェイズ」だって?)、霊気紛争も同様だ。《ピアの革命/Pia’s Revolution》や《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》、そしてこの小型セットに散りばめられた様々な文様や形状により、セット全体は非常に雑多な印象になっている。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは「クリエイティブ・コンサルタント」として6人の南アジア系の人物を挙げているが、あと2、3人ほどの紛争経験者(たとえば、ビロード革命※11のような)が加わっていれば、霊気紛争での仕事は優れたものになっただろう。

おそらくそのはずだ。僕にはわからないが。

※7……https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_the_British_salt_tax_in_India
※8……https://en.wikipedia.org/wiki/Inland_Customs_Line
※9……https://en.wikipedia.org/wiki/Salt_March
※10……http://www.thekingcenter.org/archive/theme/4733
※11……https://en.wikipedia.org/wiki/Velvet_Revolution

ソース…… http://www.starcitygames.com/article/34439_Aether-Revolt-Flavor-Review.html

(後編に続く)

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