メイルストロム・マジック(翻訳)
2016年6月7日 Magic: The Gathering コメント (2)
メイルストロム・マジック(デッキ構築型フォーマット)
Andrew Wilson 2016年5月17日
この実験では、我々はプレイ中にドラフトする。
僕は来週から新しい仕事を始めるので、これが最後の記事になるだろう。僕は少しの間あることに取り組んでおり、だから今週はその準備をして、それを書くに値する十分なアイデアにする必要があった。
というわけで今日は、メイルストロム・マジックを紹介することにしよう。
マジックプレイヤーの中には「アセンション」や「スターレルムズ」、「レジェンダリー:マーベル」なんかの「ドミニオン」が元祖とされるデッキ構築型ゲームについて聞いたことがある人も多いはずだ。これらのゲームの基本的なアイデアは、それぞれのプレイヤーは同じ基本のカードのセットを持ってゲームを始め、ゲームプレイの経過にしたがってリソースを消費しながらより強力なカードを買い、デッキを強化することができるというものだ。ターン終了時にプレイヤーは余ったカードをすべて捨て、その後何枚かのカード——多くの場合5枚——をターン終了時に引く。プレイヤーはしょっちゅうデッキを引ききってしまうので、ゲーム中にデッキに加えたカードと同様に、ゲーム開始時の基本のカードもプレイし直すことができるようになっている。
君がカードを使ってやることはゲームごとに異なる——たとえば「ドミニオン」では勝利点カードと呼ばれるものがあり、ゲームの終了時に最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝者となる。一方「レジェンダリー:マーベル」では勝利点のようなものはなく、プレイヤーはカードを使ってヴィランやゲームの黒幕を倒すことで点数を稼ぐ必要がある。
そんなわけで、デッキ構築型ゲームの精神をマジックに適用させることが僕の目標だ。それではやってみよう。
ルール
なによりもまず、「ネクサス(訳注:中心や中核を意味する言葉)」が必要だ。「キューブ」というフォーマットをプレイするとき、プレイヤーは「キューブ」と呼ばれるカードのコレクションの中からデッキを構築する。メイルストロム・マジックでは、プレイヤーはネクサスと呼ばれる山からデッキをドラフトする(そう、このフォーマットはいくらか《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》にちなんで名づけられた。我々は墓地をライブラリーに加えて切り直すことになるため《記憶のきずな/Mnemonic Nexus》の方が意味は近いが、「Mnemonic」という単語からは連想しにくい……そして《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》の方がクールなカードだ!)。
それに加えて君には基本土地カードの束と、ゲーム開始時のカードも必要だ。ゲーム開始時のカードの中には各色2枚、合計10枚の1マナ呪文が含まれている。ゲーム開始時のカードを2等分し、その両半分に、シャッフルしたネクサスからそれぞれ5枚のカードを加える。この2つの束がプレイヤーのゲーム開始時のデッキになる。もし君が多人数メイルストロムを試したいのなら、プレイヤー1人につき5枚のカードをゲーム開始時のカードに加える必要がある。
ゲーム開始時のカードの目的は、プレイヤーに第一ターンの行動を保証することにある。また、それぞれのプレイヤーに同じデッキを渡さないのは(多くのゲームではそれらは同じだ)、プレイヤーに様々な方向性を与え、ゲーム内に多様性を創り出すためだ。「アセンション」のようなゲームでは、プレイヤーは他のプレイヤーではなく中央に並んだカードに働きかけるためにカードを使うが、マジックのゲームでは、両方のプレイヤーは常に《銀のマイア/Silver Myr》か何かからゲームを始めることになってしまい、とても退屈なものになるだろう。
さて、2人のプレイヤーがゲーム開始時のデッキを用意したら、ネクサスから3枚のカードを3つの異なるドラフトパイルとして裏向きに並べる。パイルのうち1つ目は片方のプレイヤーに「近づけて」置き、2つ目のパイルはもう片方のプレイヤーに「近づけて」置く。3つ目のパイルは中央のパイルにする。多人数メイルストロムでは、1つ目のパイルをすべてのプレイヤーの近くに置き、2つ目のパイルはすべてのプレイヤーから遠ざけて置く。
これで準備は整った。ではルールの変更を見ていこう。
メイルストロム・マジックのルール
マジックの基本的なルールは同じだが、以下の部分は異なる。
墓地
我々はデッキのカードをドラフトし、各ターンでプレイしなかったカードを手札から捨てる——しかし余計な情報は見せたくないものだ。この非公開情報はゲームをよりエキサイティングにする——君は対戦相手を驚かせることができる!——だけではなく、情報が重荷になることを防ぎ、すべてが推測可能にならないようにする。
ドロー・ステップ
ドロー・ステップは、通常のマジックと比べてゲームプレイ上の変更点が最も多い。普通はドロー・ステップの間にアクティブ・プレイヤーがカードを1枚引く。メイルストロム・マジックはこれとは大きく異なる。
我々はすぐにドラフトを始め、見ての通り、プレイヤーの手札は絶えず回転し続ける。手札のカードを取っておいてそこに1枚ずつカードを加える代わりに、君はすべてのカードを捨てて持っていたカード+2枚のカードを引く。そのため、君が使えるカードはひっきりなしに変化し続けるだろう。とはいえデッキの枚数は比較的少ないから、君はターンごとに何を引くか予想することもできる。
デッキは常に流動的になる。墓地とライブラリーは入れ替わる。このシステムのせいで、デッキに入れられるカードには制約がある。《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》は採用できないし(もしくは、そこに書いてあるようにオーバーパワーだ)、《石臼/Millstone》は使い道がないカードの類だ(けれども僕は完全にそうだとは思わない)。
ドラフト
ドラフトの方法はウィンストン・ドラフトに似ているが、変更点として、2人対戦のメイルストロムでは各プレイヤーは違う方向からパイルを見始める。もちろん、ゲームプレイの最中にドラフトを行うことや、ドラフトしたカードをプレイヤーが数ターン後に引くことも大きな変更だ。
また、通常のウィンストン・ドラフトでは、君にデッキ構築の際の選択肢を増やし、対戦相手の選択肢を狭めるために大きなパイルをピックすることが推奨される。しかしメイルストロムでは、たくさんのカードをデッキに加えると本当は引きたくないカードまでデッキに入れることになってしまう。君は無駄なカードを無視できるほどカードを引けるが、もし手札がいらないカードであふれかえってしまうのであればドラフトの方法を考え直した方がいい。
土地のプレイ
君はどうやってプレイヤーが呪文を唱えるのか疑問に思っていたことだろう。土地はゲーム開始時のカードの中にもネクサスの中にも入っておらず、まして君がデッキをあらかじめ作っておけるわけでもないため、土地をどこか別の場所からプレイする必要がある。基本的に、君は各ターンに1枚の土地をプレイでき、好きな基本土地を選ぶことができる。しかしながら、そうするためには手札からカードを追放する必要がある。追放されたカードは君のライブラリーに混ぜられることはなく、したがって土地のプレイによって君は二度と引きたくないと思うカードをデッキから除外することができる——が、君の手札が好きな呪文や、ゲームの後半で必要だと思うカードばかりの場合、難しい選択を引き起こす。
また、下半分にあるように、君が使う最初の2色は自由だが、3色目、4色目、5色目は追加のコストが必要になる。たとえば、君は手札のカードを1枚追放して1ターン目に《平地/Plains》をプレイし、もう1枚追放して2ターン目に《島/Island》をプレイすることができる。その後も君が《平地/Plains》か《島/Island》を欲しいと思うなら、手札を1枚追放するだけでいい。しかし、もし《沼/Swamp》が欲しいなら、君はその3色目にアクセスするために手札を2枚追放しないといけない。一度その《沼/Swamp》を手に入れてしまえば、その後の《沼/Swamp》は通常通り1枚の追放でプレイできるが、新たに《山/Mountain》や《森/Forest》をプレイする際には2枚のカードが必要になる。
ゲームを通して、最終的にプレイヤーは4〜5色にアクセスする傾向があるが、そうすると手札の消費は激しくなる。
奇妙な状況
これらのルールでプレイすると、いくつかの奇妙な相互作用や意図しない結果が起こることがある(《地ならし屋/Leveler》だって?)。個別の例外や特殊な状況のリストを作るよりも抜本的な対策は、問題を起こすカードを避けることだ。墓地は裏向きであり、また墓地に落ちたクリーチャーはすぐに引き直せるため、《死者再生/Raise Dead》はプレイに値しない。そんなわけで端的にこのカードはネクサスに必要ないだろう。同様に、ライブラリーに基本土地は入っていないから《不屈の自然/Rampant Growth》は予選敗退だ。キューブと同じように、望むドラフト体験を創造するためにカードを選定し、きちんと機能しないカードは取り除いてしまおう。
君のネクサスを作る
さて、試してみるためのカードリストがない新フォーマットなんてありえるだろうか? ここからは僕のネクサスとその作り方のガイドラインを紹介しよう。
基本的に、僕はネクサスを作るときに「モジュール」というコンセプトを意識している。君はそうする必要はない。君は好きなようにネクサスを作ればよく、メイルストロムのルール内で機能し、君が楽しめるカードを選ぶこと以外にルールはない。しかしモジュールを使うことは体系化されたネクサスを作る方法であり、僕が好きなテーマを盛り込むことを確実にしつつ、それらのテーマを後から入れ替えられるようにもしてくれる。
モジュールとは、要するにお互いにうまく機能する数枚のカード——そしておそらくその戦略で戦うためのカードだ。このネクサスでは、ある色のカード5枚、その友好色のカード5枚、それらと戦うための対抗色のカード2枚からなる、友好色を中心にしたモジュールを使った。また「コア」と呼ばれるカード群と、当然ながらどのモジュールにも含まれないゲーム開始時のカードも用意した。
考えうる他のモジュールは、5色のモジュール(同盟者、スリヴァー、アーティファクト系など)、対抗色のモジュール、弧のモジュール(アラーラの断片)、楔のモジュール(アポカリプスまたはタルキール覇王譚)、単色のモジュール(部族中心になるかもしれない)など。可能性は無限大だ。
ゲーム開始時のカード
ゲーム開始時のカード——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《治癒の軟膏/Healing Salve》
1 《希望の壁/Wall of Hope》
-白(2)-
1 《のぞき見/Peek》
1 《翼作り/Wingcrafter》
-青(2)-
1 《深夜の魔除け/Midnight Charm》
1 《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》
-黒(2)-
1 《焼炉の悪獣/Furnace Scamp》
1 《ショック/Shock》
-赤(2)-
1 《戦闘の成長/Battlegrowth》
1 《芽吹き/Sprout》
-緑(2)-
ゲーム開始時のカードは君が思う通りにすればいい——君はそれをなくしてもいい。けれども僕はプレイヤーに最序盤の動きを保証し、ゲームに多少安定したスタート地点を与えるためにそれをお薦めする。これらのカードは飛び抜けて強力でない方がよいが、様々なテーマとシナジーを形成する能力を持ち、プレイヤーがゲームのプランを立てやすくなるように作られている必要がある——それらは各色のテーマを表現していなければならない。
コア
コア——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《彩色マンティコア/Chromanticore》
1 《荒廃の双子/Desolation Twin》
1 《ドラコ/Draco》
1 《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》
1 《多相の戦士/Shapeshifter》
-多色および無色(5)-
1 《オーラの旋風/Aura Blast》
1 《放逐する僧侶/Banisher Priest》
1 《戒厳令/Martial Law》
1 《セラの天使/Serra Angel》
1 《戦乱の神託者/War Oracle》
-白(5)-
1 《蒼穹の魔道士/Azure Mage》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《熟考漂い/Mulldrifter》
1 《魂刃のジン/Soulblade Djinn》
1 《拭い捨て/Wipe Away》
-青(5)-
1 《闇の掌握/Grasp of Darkness》
1 《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》
1 《ネクラタル/Nekrataal》
1 《血の儀式の司祭/Priest of the Blood Rite》
1 《喉笛切り/Throat Slitter》
-黒(5)-
1 《チャンドラの憤怒/Chandra’s Fury》
1 《輝き帯び/Glarewielder》
1 《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》
1 《松明の悪鬼/Torch Fiend》
1 《ウルザの激怒/Urza’s Rage》
-赤(5)-
1 《高木の巨人/Arbor Colossus》
1 《茨角/Briarhorn》
1 《ガラクの群れ率い/Garruk’s Packleader》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《ソーンウィールドの射手/Thornweald Archer》
-緑(5)-
ネクサスを作るのに、僕はモジュールの他にコアがあると便利だと思っている。これらのカードは各色を体現し、またネクサスの中に除去やアーティファクト破壊、エンチャント破壊、強力なフィニッシャーといった基本的なツールを確保する。
5枚の多色と無色のカードは、最初の数ターンでどの基本土地をプレイしたかに関係なく、両方のプレイヤーに選択肢を提供する。これはゲームの終了を保証するもうひとつの方法だ。これらはネクサスから出てくる最も強力なカードであると同時に、色を縛らないことでプレイヤーが速やかに、安全に色を決められるようにする。
《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》はこのフォーマットの名前のもとなので、たとえどんなネクサスであっても入れた方がいいのではないかと思う。《多相の戦士/Shapeshifter》は、単に僕が好きだからだ。
緑白トークン
緑白トークン——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《獣性の脅威/Bestial Menace》
1 《残忍な実体化/Feral Incarnation》
1 《翡翠の魔道士/Jade Mage》
1 《狼育ち/Raised by Wolves》
1 《種のばら撒き/Scatter the Seeds》
-緑(5)-
1 《天空の目/Eyes in the Skies》
1 《町民の結集/Gather the Townsfolk》
1 《幽霊の将軍/Phantom General》
1 《エメリアへの撤退/Retreat to Emeria》
1 《武器を手に/Take Up Arms》
-白(5)-
1 《蔓延/Infest》
1 《湧き上がる瘴気/Rising Miasma》
-黒(2)-
トークンがテーマのモジュールを作ることは、トークンを出すカードの束を作るだけの簡単な作業に思われるかもしれない。しかし、実際にはトークンを「サポートする」カードがなければ意味がない。《天空の目/Eyes in the Skies》は《深夜の出没/Midnight Haunting》に似ているが、1マナ重い代わりに君の持っている象・クリーチャー・トークンを複製してくれる。《幽霊の将軍/Phantom General》と《エメリアへの撤退/Retreat to Emeria》はトークン全体のパワーを上げてくれる。《残忍な実体化/Feral Incarnation》と《種のばら撒き/Scatter the Seeds》は複数のクリーチャーをコントロールしていると唱えやすくなる。
黒のカードは1/1や2/2の群れを無に帰すことでトークン戦略に対抗する——ビーストや象に対処するのは難しいかもしれないが、でもまあ、誰かがなんとかしてくれるはずだ。
白青オーラ
白青オーラ——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《神性変異/Divine Transformation》
1 《霊刃の幻霊/Ghostblade Eidolon》
1 《雅刃の職工/Graceblade Artisan》
1 《希望の幻霊/Hopeful Eidolon》
1 《イオナの祝福/Iona’s Blessing》
-白(5)-
1 《長魚の陰影/Eel Umbra》
1 《閃足の幻霊/Flitterstep Eidolon》
1 《幻影の鎧/Illusionary Armor》
1 《メタスランの精鋭/Metathran Elite》
1 《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》
-青(5)-
1 《憤激/Lose Calm》
1 《抑圧的支配/Press into Service》
-赤(2)-
モジュールの作成で重要なことは——ネクサスの作成もそうだが——カード間にバランスのとれたコストを与えることだ。デッキビルダーやキューブビルダーはこの教訓をすでに理解していると思うが、シナジーのあるクールなカードのリストを作るときには忘れがちになる。また《神性変異/Divine Transformation》が示しているように、ベストなカードに枠を割くことが常に重要だというわけではない。考え方は人それぞれなので、君が強力なキューブのようなネクサスを作りたいのならそれでもいいが、僕は全体的により低いパワー・レベルのマジックの方が好みだ。
オーラがテーマのモジュールでは、ただ単にオーラを入れるのではなく関係性を作ることが重要だ。おそらく《オーラ術師の装い/Auramancer’s Guise》は適切ではないが、《雅刃の職工/Graceblade Artisan》や《メタスランの精鋭/Metathran Elite》はオーラに額面以上の関係性を与えてくれるだろう。
赤の《脅しつけ/Threaten》効果を持つカードは、オーラがエンチャントされた巨大なクリーチャーを奪い、形勢を逆転する。
青黒フェアリー
青黒フェアリー——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
4 《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》
1 《スプライトの貴族/Sprite Noble》
-青(5)-
1 《ウーナの黒近衛/Oona’s Blackguard》
1 《群れの侮蔑/Pack’s Disdain》
1 《コショウ煙/Peppersmoke》
1 《泥棒スプライト/Thieving Sprite》
1 《スミレの棺/Violet Pall》
-黒(5)-
1 《突風/Squall》
1 《巣網から見張るもの/Watcher in the Web》
-緑(2)-
キューブにも統率者にも、同名のカードは1枚までしか入れられないというルールがある。けれども実際は多くの人がそう思い込んでいるだけで、キューブについては正しくない。いいかい、もし君が統率者のデッキを組むなら、ゲームのバランスを崩して周りのプレイヤーを唖然とさせないように、誰もが守っているルールを守らないといけない。しかし君がキューブを組むのなら、ドラフトするプレイヤーは「君の」ルールに従わないといけない——君が決めたことなら何でもだ。
たとえば、こんな場合がそうだ——たとえ君がネクサスに2枚以上の同名のカードを入れたいと思ったとしても、それを止める理由はどこにもない。《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》や《集中砲火/Flame Burst》は墓地が裏向きで循環するためうまく働いてくれないが、《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》は空を埋め尽くしてコントローラーのために相当のカード・アドバンテージを手に入れてくれる。ドロー・ステップの変更があるとはいえ、カード・アドバンテージはメイルストロムでも依然として重要だ。
僕がリストに入れたスターター版の《突風/Squall》(訳注:原文のリスト参照)についても触れておこう。このカードのコストはメルカディアン・マスクス版や第8版のように(2)(緑)ではなく、(1)(緑)と誤植されている。わざわざこれを入れたのは、僕のネクサスの中では(1)(緑)として機能するように意図したからだ。わかったかい? ここでは自分のルールを作ることができるんだ。
黒赤アグロ
黒赤アグロ——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《アリーシャの先兵/Alesha’s Vanguard》
1 《ゲスの評決/Geth’s Verdict》
1 《無謀なインプ/Reckless Imp》
1 《血の復讐/Vendetta》
1 《卑劣なアヌーリッド/Wretched Anurid》
-黒(5)-
1 《真紅の魔道士/Crimson Mage》
1 《心臓鞭の燃えがら/Heartlash Cinder》
1 《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte》
1 《稲妻のやっかいもの/Lightning Mauler》
1 《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》
-赤(5)-
1 《懲罰/Chastise》
1 《群れの護衛/Pride Guardian》
-白(2)-
このモジュールはおそらく最もテーマ性が薄い——もしかしたらゴブリンか何かにするべきだったかもしれない。これは今回のモジュールの中でもシナジーが薄く、弱く、そしてゲームプレイ中に惹きつけられるような魅力もない。
しかし、僕はこれら12枚のカードをすでにネクサスから分離し、ネクサスの残りのカードを気にすることなくそれらを戻すことも、別のテーマを持ったモジュールと入れ替えることもできる状態にしている。これがモジュールがもともと持っている美点だ。
《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》は、僕がほとんどの場合避けている、メイルストロムのルール上で奇妙なことを起こすカードとして特筆すべき1枚だ。君はこいつを唱え、攻撃し、そしてライブラリーと混ぜ合わせる。次の君のドロー・ステップの間に、君は手札を捨て、さっきのライブラリーから何枚かの新しいカードを引く。メイルストロムのライブラリーは割合少ないので、1、2ターンの間に《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》を引く確率はかなり高い。このカードは《溶岩の斧/Lava Axe》よりも可能性を秘めているといえる。なぜなら我々はライブラリーと墓地を循環させ、その中で様々なカードを何回も目にするが、こいつは自分でライブラリーに戻ってより頻繁に顔を見せることになるからだ。
一方で、疾駆クリーチャーたちは毎ターン疾駆することはできないが、カード・アドバンテージを失うことはない。彼らが戦闘で死なない限り。
赤緑カウンター
赤緑カウンター——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《うろつく餌食の呪い/Curse of Stalked Prey》
1 《激情の発動/Fierce Invocation》
1 《パーフォロスの試練/Ordeal of Purphoros》
1 《跳ね散らす凶漢/Splatter Thug》
1 《電位の負荷/Volt Charge》
-赤(5)-
1 《アフィヤの樹/Afiya Grove》
1 《戦線クルショク/Battlefront Krushok》
1 《円環の賢者/Gyre Sage》
1 《カヴーのタイタン/Kavu Titan》
1 《幻影の虎/Phantom Tiger》
-緑(5)-
1 《凍結/Frozen Solid》
1 《掃き飛ばし/Sweep Away》
-青(2)-
最後のモジュールは+1/+1カウンターがテーマだ。トークンやオーラのモジュールと同様に、+1/+1カウンターを生み出す手段とサポートする手段が入っている。《パーフォロスの試練/Ordeal of Purphoros》は、エンチャントされるクリーチャーにあらかじめカウンターが置かれていればすぐに発射可能になるし、そうでなくても何回かの攻撃でクリーチャーを大きくすることができる。《電位の負荷/Volt Charge》はすでに強化されているクリーチャーを強化し、《アフィヤの樹/Afiya Grove》や《うろつく餌食の呪い/Curse of Stalked Prey》は君のあらゆるクリーチャーにカウンターを置き、《戦線クルショク/Battlefront Krushok》は大きくなった君のクリーチャーに《地元の利/Familiar Ground》能力を与える。
《カヴーのタイタン/Kavu Titan》や《跳ね散らす凶漢/Splatter Thug》は単にカウンターを置くだけだが、《幻影の虎/Phantom Tiger》や《円環の賢者/Gyre Sage》は追加で置かれるカウンターの数によってより強力になる。
一方、青のカードは大きな脅威を無力化する方法を提供してくれる。《凍結/Frozen Solid》は相手に「ノー」を突きつけ、《掃き飛ばし/Sweep Away》はクリーチャーを霊気の世界へ送って+1/+1カウンターを消してしまう。また、《掃き飛ばし/Sweep Away》がメイルストロムの中で生み出す決断は興味深い。
クリーチャーを手札に戻すとそのカードはドロー・ステップ中に捨てられるが、引き直す際の手札は多くなる(通常のバウンス呪文と同じように、君はカード・アドバンテージを失う)。しかし、たとえ君がそのクリーチャーをオーナーのライブラリーの一番上に置いたとしても、1:1交換にはなるがそのクリーチャーは次のターンにすぐさま戻ってきてしまう。通常のマジックではバウンス呪文はカード・アドバンテージの面で《追い返し/Repel》より弱いが、メイルストロムでクリーチャーを手札に戻すことは通常とは異なる意味を持つ。
ボーナス!
12枚のカードからなる5つのモジュール、30枚のコア(1色につき5枚と無色と多色5枚)、そして10枚のゲーム開始時のカードを足してちょうど100枚になった! ということは、必要な基本土地を別にすれば、ネクサスは統率者のデッキのように持ち運べるということだ。
けれども、やはり僕は自分を抑えることができなかった。僕はどうしても「もう5枚のカード」をねじ込みたかった。これらを入れてネクサスを薄めることは、モジュールのシナジーを弱め、コアがこのフォーマットを健全に保つのを阻害するが、リストの中にボルバーを投入したいという気持ちには抗えなかった。ちょうど同じように使えるカードは、他にも師匠サイクル(《陽景学院の師匠/Sunscape Master》)、アラーラの断片の戦闘魔道士サイクル(《エスパーの戦闘魔道士/Esper Battlemage》)、プレーンシフトの戦闘魔道士サイクル(《夜景学院の戦闘魔道士/Nightscape Battlemage》)、基本セット2015(訳注:誤植?)の友好色の起動型能力を持つクリーチャー(《真紅の汚水這い/Crimson Muckwader》)、タルキール覇王譚のカン(《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw》)などがある。
ボーナス!——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《デイガボルバー/Degavolver》
1 《シータボルバー/Cetavolver》
1 《ネクラボルバー/Necravolver》
1 《ラッカボルバー/Rakavolver》
1 《アナボルバー/Anavolver》
-ボルバー(5)-
しかしながらボルバーは、必要に応じてバニラ・テスト※の失敗作として早めに戦場に出せるためこのフォーマットでは素晴らしい働きをする。そして、マナさえ——量と色のどちらも——あれば、戦場で死んだ後、再び唱え直す際にキッカー・コストをいろいろな形で支払うことができる。基本的に、キッカーを持つ呪文はその柔軟性がメイルストロムに非常に合っているし、さらに、複数の色を要求するカードは試合の方向性を面白くする。すなわちボルバーはここでは最高のカードの1つだということだ。
僕はかつて部族トーナメントでボルバーを使ったことがあるので、これらのカードには強い思い入れがある。
※……バニラ・テストとは、クリーチャーのコスト・パフォーマンスを数値的に比較しようとして考えられたもの。私が知る限りだとhttp://blackdeckwins.tumblr.com/post/129568175299/the-vanilla-testに詳しい。
実に過去4年間にわたって、僕のひどい、扱いにくい、おかしな、正気でない、二番煎じの、そして楽しいコンボの記事を読んでくれたことをみんなに感謝する。僕のアイデアが君のデッキ構築のヒントになったり、君がメイルストロムを試してくれたりすることを心から願っている。僕はもっと様々なテーマや枚数のモジュールがあれば見てみたいし、なによりこのフォーマットをプレイしてくれているところを見てみたい。
今、そして未来のいつかの時点で、僕、Andrewは言う。「下手くそ、これ僕の昔の締め方だな。」
Andrew Wilson
ソース……http://www.gatheringmagic.com/andrewwilson-051716-maelstrom-magic-the-deck-building-format/(Maelstrom Magic: The Deck-Building Format)
翻訳後記
この記事はGatheringMagic.comの電波デッキビルダー(?)であるAndrew Wilsonの、どうやら最後の記事ということらしいです。そもそもドラフト用のキューブの作り方を調べている最中に見つけたのですが、マジックをデッキ構築型ゲームとしてプレイするというアイデアに惹かれて翻訳してみました。
実は私自身も(全く別の方法で)マジックをデッキ構築型ゲームにする、というかドミニオンにするというアイデアについて考えていたことがあり、面白く読むことができました。メイルストロム・マジックのドラフト方法であるウィンストン・ドラフトについては私も含め苦手な方も多いと思うのですが、大きなパイルをドラフトすることがこの手のゲームではデメリットになるという発想は興味深いものです。それがプレイヤーに対してどれほどのストレスになるのかはわかりませんが、ウィンストン・ドラフトの改良方法としてはかなり画期的なのではないでしょうか。
いつもの通り、誤訳や誤字がありましたら指摘していただければ幸いです。
Andrew Wilson 2016年5月17日
この実験では、我々はプレイ中にドラフトする。
僕は来週から新しい仕事を始めるので、これが最後の記事になるだろう。僕は少しの間あることに取り組んでおり、だから今週はその準備をして、それを書くに値する十分なアイデアにする必要があった。
というわけで今日は、メイルストロム・マジックを紹介することにしよう。
マジックプレイヤーの中には「アセンション」や「スターレルムズ」、「レジェンダリー:マーベル」なんかの「ドミニオン」が元祖とされるデッキ構築型ゲームについて聞いたことがある人も多いはずだ。これらのゲームの基本的なアイデアは、それぞれのプレイヤーは同じ基本のカードのセットを持ってゲームを始め、ゲームプレイの経過にしたがってリソースを消費しながらより強力なカードを買い、デッキを強化することができるというものだ。ターン終了時にプレイヤーは余ったカードをすべて捨て、その後何枚かのカード——多くの場合5枚——をターン終了時に引く。プレイヤーはしょっちゅうデッキを引ききってしまうので、ゲーム中にデッキに加えたカードと同様に、ゲーム開始時の基本のカードもプレイし直すことができるようになっている。
君がカードを使ってやることはゲームごとに異なる——たとえば「ドミニオン」では勝利点カードと呼ばれるものがあり、ゲームの終了時に最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝者となる。一方「レジェンダリー:マーベル」では勝利点のようなものはなく、プレイヤーはカードを使ってヴィランやゲームの黒幕を倒すことで点数を稼ぐ必要がある。
そんなわけで、デッキ構築型ゲームの精神をマジックに適用させることが僕の目標だ。それではやってみよう。
ルール
なによりもまず、「ネクサス(訳注:中心や中核を意味する言葉)」が必要だ。「キューブ」というフォーマットをプレイするとき、プレイヤーは「キューブ」と呼ばれるカードのコレクションの中からデッキを構築する。メイルストロム・マジックでは、プレイヤーはネクサスと呼ばれる山からデッキをドラフトする(そう、このフォーマットはいくらか《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》にちなんで名づけられた。我々は墓地をライブラリーに加えて切り直すことになるため《記憶のきずな/Mnemonic Nexus》の方が意味は近いが、「Mnemonic」という単語からは連想しにくい……そして《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》の方がクールなカードだ!)。
それに加えて君には基本土地カードの束と、ゲーム開始時のカードも必要だ。ゲーム開始時のカードの中には各色2枚、合計10枚の1マナ呪文が含まれている。ゲーム開始時のカードを2等分し、その両半分に、シャッフルしたネクサスからそれぞれ5枚のカードを加える。この2つの束がプレイヤーのゲーム開始時のデッキになる。もし君が多人数メイルストロムを試したいのなら、プレイヤー1人につき5枚のカードをゲーム開始時のカードに加える必要がある。
ゲーム開始時のカードの目的は、プレイヤーに第一ターンの行動を保証することにある。また、それぞれのプレイヤーに同じデッキを渡さないのは(多くのゲームではそれらは同じだ)、プレイヤーに様々な方向性を与え、ゲーム内に多様性を創り出すためだ。「アセンション」のようなゲームでは、プレイヤーは他のプレイヤーではなく中央に並んだカードに働きかけるためにカードを使うが、マジックのゲームでは、両方のプレイヤーは常に《銀のマイア/Silver Myr》か何かからゲームを始めることになってしまい、とても退屈なものになるだろう。
さて、2人のプレイヤーがゲーム開始時のデッキを用意したら、ネクサスから3枚のカードを3つの異なるドラフトパイルとして裏向きに並べる。パイルのうち1つ目は片方のプレイヤーに「近づけて」置き、2つ目のパイルはもう片方のプレイヤーに「近づけて」置く。3つ目のパイルは中央のパイルにする。多人数メイルストロムでは、1つ目のパイルをすべてのプレイヤーの近くに置き、2つ目のパイルはすべてのプレイヤーから遠ざけて置く。
これで準備は整った。ではルールの変更を見ていこう。
メイルストロム・マジックのルール
マジックの基本的なルールは同じだが、以下の部分は異なる。
墓地
各プレイヤーの墓地はそれぞれ裏向きの山とする。プレイヤーはいつでも自分の墓地の枚数を数えてもよいが、対戦相手の墓地の枚数を数えることはできない。
我々はデッキのカードをドラフトし、各ターンでプレイしなかったカードを手札から捨てる——しかし余計な情報は見せたくないものだ。この非公開情報はゲームをよりエキサイティングにする——君は対戦相手を驚かせることができる!——だけではなく、情報が重荷になることを防ぎ、すべてが推測可能にならないようにする。
ドロー・ステップ
ドロー・ステップは、通常のマジックと比べてゲームプレイ上の変更点が最も多い。普通はドロー・ステップの間にアクティブ・プレイヤーがカードを1枚引く。メイルストロム・マジックはこれとは大きく異なる。
・アクティブ・プレイヤーはドラフトを行い、ドラフトしたカードを自分の墓地に置く。その後、そのプレイヤーは自分の手札を捨て、捨てたカードの枚数+2枚のカードを引く。このターン起因処理はスタックを用いない。
・各プレイヤーはそれぞれの第一ターンのドロー・ステップを飛ばす。
・カードがないライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーは、自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直し、カードを引き続ける。
我々はすぐにドラフトを始め、見ての通り、プレイヤーの手札は絶えず回転し続ける。手札のカードを取っておいてそこに1枚ずつカードを加える代わりに、君はすべてのカードを捨てて持っていたカード+2枚のカードを引く。そのため、君が使えるカードはひっきりなしに変化し続けるだろう。とはいえデッキの枚数は比較的少ないから、君はターンごとに何を引くか予想することもできる。
デッキは常に流動的になる。墓地とライブラリーは入れ替わる。このシステムのせいで、デッキに入れられるカードには制約がある。《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》は採用できないし(もしくは、そこに書いてあるようにオーバーパワーだ)、《石臼/Millstone》は使い道がないカードの類だ(けれども僕は完全にそうだとは思わない)。
ドラフト
・ドラフトを行うには、アクティブ・プレイヤーは自分に最も近いパイルのカードを見る。そのプレイヤーはそれらのカードをドラフトして、それらを自分の墓地に裏向きで置いてもよい。そうしない場合、そのプレイヤーはパイルを戻し、そのパイルの上にネクサスから表側を見ずにカードを1枚加え、次のパイルを見てこの手順を繰り返す。そのプレイヤーがパイルをドラフトした場合、そのパイルの位置にネクサスから表側を見ずにカードを1枚加える。もしもそのプレイヤーがどのパイルもドラフトしなかった場合、そのプレイヤーはネクサスの一番上のカードをドラフトする(そのプレイヤーはドラフトされたカードを見てもよい)。
ドラフトの方法はウィンストン・ドラフトに似ているが、変更点として、2人対戦のメイルストロムでは各プレイヤーは違う方向からパイルを見始める。もちろん、ゲームプレイの最中にドラフトを行うことや、ドラフトしたカードをプレイヤーが数ターン後に引くことも大きな変更だ。
また、通常のウィンストン・ドラフトでは、君にデッキ構築の際の選択肢を増やし、対戦相手の選択肢を狭めるために大きなパイルをピックすることが推奨される。しかしメイルストロムでは、たくさんのカードをデッキに加えると本当は引きたくないカードまでデッキに入れることになってしまう。君は無駄なカードを無視できるほどカードを引けるが、もし手札がいらないカードであふれかえってしまうのであればドラフトの方法を考え直した方がいい。
土地のプレイ
・土地のプレイは特別な処理である(訳注:スタックを用いない)。土地をプレイするには、プレイヤーは手札からカードを1枚追放し、ゲームの外部にあるいずれかの基本土地カード1枚を戦場に出す。通常、プレイヤーは自分のターンの間に1回だけこの特別な処理を行うことができる。 優先権を持つプレイヤーは、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間、この特別な処理を行うことができる。
・2種類以上のタイプの基本土地をコントロールしているプレイヤーが、自分がコントロールしていないタイプの基本土地をプレイするためにこの特別な処理を行う場合、そのプレイヤーは手札からカードを1枚追放する代わりに2枚追放する。
君はどうやってプレイヤーが呪文を唱えるのか疑問に思っていたことだろう。土地はゲーム開始時のカードの中にもネクサスの中にも入っておらず、まして君がデッキをあらかじめ作っておけるわけでもないため、土地をどこか別の場所からプレイする必要がある。基本的に、君は各ターンに1枚の土地をプレイでき、好きな基本土地を選ぶことができる。しかしながら、そうするためには手札からカードを追放する必要がある。追放されたカードは君のライブラリーに混ぜられることはなく、したがって土地のプレイによって君は二度と引きたくないと思うカードをデッキから除外することができる——が、君の手札が好きな呪文や、ゲームの後半で必要だと思うカードばかりの場合、難しい選択を引き起こす。
また、下半分にあるように、君が使う最初の2色は自由だが、3色目、4色目、5色目は追加のコストが必要になる。たとえば、君は手札のカードを1枚追放して1ターン目に《平地/Plains》をプレイし、もう1枚追放して2ターン目に《島/Island》をプレイすることができる。その後も君が《平地/Plains》か《島/Island》を欲しいと思うなら、手札を1枚追放するだけでいい。しかし、もし《沼/Swamp》が欲しいなら、君はその3色目にアクセスするために手札を2枚追放しないといけない。一度その《沼/Swamp》を手に入れてしまえば、その後の《沼/Swamp》は通常通り1枚の追放でプレイできるが、新たに《山/Mountain》や《森/Forest》をプレイする際には2枚のカードが必要になる。
ゲームを通して、最終的にプレイヤーは4〜5色にアクセスする傾向があるが、そうすると手札の消費は激しくなる。
奇妙な状況
これらのルールでプレイすると、いくつかの奇妙な相互作用や意図しない結果が起こることがある(《地ならし屋/Leveler》だって?)。個別の例外や特殊な状況のリストを作るよりも抜本的な対策は、問題を起こすカードを避けることだ。墓地は裏向きであり、また墓地に落ちたクリーチャーはすぐに引き直せるため、《死者再生/Raise Dead》はプレイに値しない。そんなわけで端的にこのカードはネクサスに必要ないだろう。同様に、ライブラリーに基本土地は入っていないから《不屈の自然/Rampant Growth》は予選敗退だ。キューブと同じように、望むドラフト体験を創造するためにカードを選定し、きちんと機能しないカードは取り除いてしまおう。
君のネクサスを作る
さて、試してみるためのカードリストがない新フォーマットなんてありえるだろうか? ここからは僕のネクサスとその作り方のガイドラインを紹介しよう。
基本的に、僕はネクサスを作るときに「モジュール」というコンセプトを意識している。君はそうする必要はない。君は好きなようにネクサスを作ればよく、メイルストロムのルール内で機能し、君が楽しめるカードを選ぶこと以外にルールはない。しかしモジュールを使うことは体系化されたネクサスを作る方法であり、僕が好きなテーマを盛り込むことを確実にしつつ、それらのテーマを後から入れ替えられるようにもしてくれる。
モジュールとは、要するにお互いにうまく機能する数枚のカード——そしておそらくその戦略で戦うためのカードだ。このネクサスでは、ある色のカード5枚、その友好色のカード5枚、それらと戦うための対抗色のカード2枚からなる、友好色を中心にしたモジュールを使った。また「コア」と呼ばれるカード群と、当然ながらどのモジュールにも含まれないゲーム開始時のカードも用意した。
考えうる他のモジュールは、5色のモジュール(同盟者、スリヴァー、アーティファクト系など)、対抗色のモジュール、弧のモジュール(アラーラの断片)、楔のモジュール(アポカリプスまたはタルキール覇王譚)、単色のモジュール(部族中心になるかもしれない)など。可能性は無限大だ。
ゲーム開始時のカード
ゲーム開始時のカード——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《治癒の軟膏/Healing Salve》
1 《希望の壁/Wall of Hope》
-白(2)-
1 《のぞき見/Peek》
1 《翼作り/Wingcrafter》
-青(2)-
1 《深夜の魔除け/Midnight Charm》
1 《鼓動の追跡者/Pulse Tracker》
-黒(2)-
1 《焼炉の悪獣/Furnace Scamp》
1 《ショック/Shock》
-赤(2)-
1 《戦闘の成長/Battlegrowth》
1 《芽吹き/Sprout》
-緑(2)-
ゲーム開始時のカードは君が思う通りにすればいい——君はそれをなくしてもいい。けれども僕はプレイヤーに最序盤の動きを保証し、ゲームに多少安定したスタート地点を与えるためにそれをお薦めする。これらのカードは飛び抜けて強力でない方がよいが、様々なテーマとシナジーを形成する能力を持ち、プレイヤーがゲームのプランを立てやすくなるように作られている必要がある——それらは各色のテーマを表現していなければならない。
コア
コア——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《彩色マンティコア/Chromanticore》
1 《荒廃の双子/Desolation Twin》
1 《ドラコ/Draco》
1 《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》
1 《多相の戦士/Shapeshifter》
-多色および無色(5)-
1 《オーラの旋風/Aura Blast》
1 《放逐する僧侶/Banisher Priest》
1 《戒厳令/Martial Law》
1 《セラの天使/Serra Angel》
1 《戦乱の神託者/War Oracle》
-白(5)-
1 《蒼穹の魔道士/Azure Mage》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《熟考漂い/Mulldrifter》
1 《魂刃のジン/Soulblade Djinn》
1 《拭い捨て/Wipe Away》
-青(5)-
1 《闇の掌握/Grasp of Darkness》
1 《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》
1 《ネクラタル/Nekrataal》
1 《血の儀式の司祭/Priest of the Blood Rite》
1 《喉笛切り/Throat Slitter》
-黒(5)-
1 《チャンドラの憤怒/Chandra’s Fury》
1 《輝き帯び/Glarewielder》
1 《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》
1 《松明の悪鬼/Torch Fiend》
1 《ウルザの激怒/Urza’s Rage》
-赤(5)-
1 《高木の巨人/Arbor Colossus》
1 《茨角/Briarhorn》
1 《ガラクの群れ率い/Garruk’s Packleader》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《ソーンウィールドの射手/Thornweald Archer》
-緑(5)-
ネクサスを作るのに、僕はモジュールの他にコアがあると便利だと思っている。これらのカードは各色を体現し、またネクサスの中に除去やアーティファクト破壊、エンチャント破壊、強力なフィニッシャーといった基本的なツールを確保する。
5枚の多色と無色のカードは、最初の数ターンでどの基本土地をプレイしたかに関係なく、両方のプレイヤーに選択肢を提供する。これはゲームの終了を保証するもうひとつの方法だ。これらはネクサスから出てくる最も強力なカードであると同時に、色を縛らないことでプレイヤーが速やかに、安全に色を決められるようにする。
《大渦のきずな/Maelstrom Nexus》はこのフォーマットの名前のもとなので、たとえどんなネクサスであっても入れた方がいいのではないかと思う。《多相の戦士/Shapeshifter》は、単に僕が好きだからだ。
緑白トークン
緑白トークン——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《獣性の脅威/Bestial Menace》
1 《残忍な実体化/Feral Incarnation》
1 《翡翠の魔道士/Jade Mage》
1 《狼育ち/Raised by Wolves》
1 《種のばら撒き/Scatter the Seeds》
-緑(5)-
1 《天空の目/Eyes in the Skies》
1 《町民の結集/Gather the Townsfolk》
1 《幽霊の将軍/Phantom General》
1 《エメリアへの撤退/Retreat to Emeria》
1 《武器を手に/Take Up Arms》
-白(5)-
1 《蔓延/Infest》
1 《湧き上がる瘴気/Rising Miasma》
-黒(2)-
トークンがテーマのモジュールを作ることは、トークンを出すカードの束を作るだけの簡単な作業に思われるかもしれない。しかし、実際にはトークンを「サポートする」カードがなければ意味がない。《天空の目/Eyes in the Skies》は《深夜の出没/Midnight Haunting》に似ているが、1マナ重い代わりに君の持っている象・クリーチャー・トークンを複製してくれる。《幽霊の将軍/Phantom General》と《エメリアへの撤退/Retreat to Emeria》はトークン全体のパワーを上げてくれる。《残忍な実体化/Feral Incarnation》と《種のばら撒き/Scatter the Seeds》は複数のクリーチャーをコントロールしていると唱えやすくなる。
黒のカードは1/1や2/2の群れを無に帰すことでトークン戦略に対抗する——ビーストや象に対処するのは難しいかもしれないが、でもまあ、誰かがなんとかしてくれるはずだ。
白青オーラ
白青オーラ——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《神性変異/Divine Transformation》
1 《霊刃の幻霊/Ghostblade Eidolon》
1 《雅刃の職工/Graceblade Artisan》
1 《希望の幻霊/Hopeful Eidolon》
1 《イオナの祝福/Iona’s Blessing》
-白(5)-
1 《長魚の陰影/Eel Umbra》
1 《閃足の幻霊/Flitterstep Eidolon》
1 《幻影の鎧/Illusionary Armor》
1 《メタスランの精鋭/Metathran Elite》
1 《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》
-青(5)-
1 《憤激/Lose Calm》
1 《抑圧的支配/Press into Service》
-赤(2)-
モジュールの作成で重要なことは——ネクサスの作成もそうだが——カード間にバランスのとれたコストを与えることだ。デッキビルダーやキューブビルダーはこの教訓をすでに理解していると思うが、シナジーのあるクールなカードのリストを作るときには忘れがちになる。また《神性変異/Divine Transformation》が示しているように、ベストなカードに枠を割くことが常に重要だというわけではない。考え方は人それぞれなので、君が強力なキューブのようなネクサスを作りたいのならそれでもいいが、僕は全体的により低いパワー・レベルのマジックの方が好みだ。
オーラがテーマのモジュールでは、ただ単にオーラを入れるのではなく関係性を作ることが重要だ。おそらく《オーラ術師の装い/Auramancer’s Guise》は適切ではないが、《雅刃の職工/Graceblade Artisan》や《メタスランの精鋭/Metathran Elite》はオーラに額面以上の関係性を与えてくれるだろう。
赤の《脅しつけ/Threaten》効果を持つカードは、オーラがエンチャントされた巨大なクリーチャーを奪い、形勢を逆転する。
青黒フェアリー
青黒フェアリー——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
4 《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》
1 《スプライトの貴族/Sprite Noble》
-青(5)-
1 《ウーナの黒近衛/Oona’s Blackguard》
1 《群れの侮蔑/Pack’s Disdain》
1 《コショウ煙/Peppersmoke》
1 《泥棒スプライト/Thieving Sprite》
1 《スミレの棺/Violet Pall》
-黒(5)-
1 《突風/Squall》
1 《巣網から見張るもの/Watcher in the Web》
-緑(2)-
キューブにも統率者にも、同名のカードは1枚までしか入れられないというルールがある。けれども実際は多くの人がそう思い込んでいるだけで、キューブについては正しくない。いいかい、もし君が統率者のデッキを組むなら、ゲームのバランスを崩して周りのプレイヤーを唖然とさせないように、誰もが守っているルールを守らないといけない。しかし君がキューブを組むのなら、ドラフトするプレイヤーは「君の」ルールに従わないといけない——君が決めたことなら何でもだ。
たとえば、こんな場合がそうだ——たとえ君がネクサスに2枚以上の同名のカードを入れたいと思ったとしても、それを止める理由はどこにもない。《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》や《集中砲火/Flame Burst》は墓地が裏向きで循環するためうまく働いてくれないが、《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》は空を埋め尽くしてコントローラーのために相当のカード・アドバンテージを手に入れてくれる。ドロー・ステップの変更があるとはいえ、カード・アドバンテージはメイルストロムでも依然として重要だ。
僕がリストに入れたスターター版の《突風/Squall》(訳注:原文のリスト参照)についても触れておこう。このカードのコストはメルカディアン・マスクス版や第8版のように(2)(緑)ではなく、(1)(緑)と誤植されている。わざわざこれを入れたのは、僕のネクサスの中では(1)(緑)として機能するように意図したからだ。わかったかい? ここでは自分のルールを作ることができるんだ。
黒赤アグロ
黒赤アグロ——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《アリーシャの先兵/Alesha’s Vanguard》
1 《ゲスの評決/Geth’s Verdict》
1 《無謀なインプ/Reckless Imp》
1 《血の復讐/Vendetta》
1 《卑劣なアヌーリッド/Wretched Anurid》
-黒(5)-
1 《真紅の魔道士/Crimson Mage》
1 《心臓鞭の燃えがら/Heartlash Cinder》
1 《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte》
1 《稲妻のやっかいもの/Lightning Mauler》
1 《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》
-赤(5)-
1 《懲罰/Chastise》
1 《群れの護衛/Pride Guardian》
-白(2)-
このモジュールはおそらく最もテーマ性が薄い——もしかしたらゴブリンか何かにするべきだったかもしれない。これは今回のモジュールの中でもシナジーが薄く、弱く、そしてゲームプレイ中に惹きつけられるような魅力もない。
しかし、僕はこれら12枚のカードをすでにネクサスから分離し、ネクサスの残りのカードを気にすることなくそれらを戻すことも、別のテーマを持ったモジュールと入れ替えることもできる状態にしている。これがモジュールがもともと持っている美点だ。
《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》は、僕がほとんどの場合避けている、メイルストロムのルール上で奇妙なことを起こすカードとして特筆すべき1枚だ。君はこいつを唱え、攻撃し、そしてライブラリーと混ぜ合わせる。次の君のドロー・ステップの間に、君は手札を捨て、さっきのライブラリーから何枚かの新しいカードを引く。メイルストロムのライブラリーは割合少ないので、1、2ターンの間に《稲妻の金切り魔/Lightning Shrieker》を引く確率はかなり高い。このカードは《溶岩の斧/Lava Axe》よりも可能性を秘めているといえる。なぜなら我々はライブラリーと墓地を循環させ、その中で様々なカードを何回も目にするが、こいつは自分でライブラリーに戻ってより頻繁に顔を見せることになるからだ。
一方で、疾駆クリーチャーたちは毎ターン疾駆することはできないが、カード・アドバンテージを失うことはない。彼らが戦闘で死なない限り。
赤緑カウンター
赤緑カウンター——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《うろつく餌食の呪い/Curse of Stalked Prey》
1 《激情の発動/Fierce Invocation》
1 《パーフォロスの試練/Ordeal of Purphoros》
1 《跳ね散らす凶漢/Splatter Thug》
1 《電位の負荷/Volt Charge》
-赤(5)-
1 《アフィヤの樹/Afiya Grove》
1 《戦線クルショク/Battlefront Krushok》
1 《円環の賢者/Gyre Sage》
1 《カヴーのタイタン/Kavu Titan》
1 《幻影の虎/Phantom Tiger》
-緑(5)-
1 《凍結/Frozen Solid》
1 《掃き飛ばし/Sweep Away》
-青(2)-
最後のモジュールは+1/+1カウンターがテーマだ。トークンやオーラのモジュールと同様に、+1/+1カウンターを生み出す手段とサポートする手段が入っている。《パーフォロスの試練/Ordeal of Purphoros》は、エンチャントされるクリーチャーにあらかじめカウンターが置かれていればすぐに発射可能になるし、そうでなくても何回かの攻撃でクリーチャーを大きくすることができる。《電位の負荷/Volt Charge》はすでに強化されているクリーチャーを強化し、《アフィヤの樹/Afiya Grove》や《うろつく餌食の呪い/Curse of Stalked Prey》は君のあらゆるクリーチャーにカウンターを置き、《戦線クルショク/Battlefront Krushok》は大きくなった君のクリーチャーに《地元の利/Familiar Ground》能力を与える。
《カヴーのタイタン/Kavu Titan》や《跳ね散らす凶漢/Splatter Thug》は単にカウンターを置くだけだが、《幻影の虎/Phantom Tiger》や《円環の賢者/Gyre Sage》は追加で置かれるカウンターの数によってより強力になる。
一方、青のカードは大きな脅威を無力化する方法を提供してくれる。《凍結/Frozen Solid》は相手に「ノー」を突きつけ、《掃き飛ばし/Sweep Away》はクリーチャーを霊気の世界へ送って+1/+1カウンターを消してしまう。また、《掃き飛ばし/Sweep Away》がメイルストロムの中で生み出す決断は興味深い。
クリーチャーを手札に戻すとそのカードはドロー・ステップ中に捨てられるが、引き直す際の手札は多くなる(通常のバウンス呪文と同じように、君はカード・アドバンテージを失う)。しかし、たとえ君がそのクリーチャーをオーナーのライブラリーの一番上に置いたとしても、1:1交換にはなるがそのクリーチャーは次のターンにすぐさま戻ってきてしまう。通常のマジックではバウンス呪文はカード・アドバンテージの面で《追い返し/Repel》より弱いが、メイルストロムでクリーチャーを手札に戻すことは通常とは異なる意味を持つ。
ボーナス!
12枚のカードからなる5つのモジュール、30枚のコア(1色につき5枚と無色と多色5枚)、そして10枚のゲーム開始時のカードを足してちょうど100枚になった! ということは、必要な基本土地を別にすれば、ネクサスは統率者のデッキのように持ち運べるということだ。
けれども、やはり僕は自分を抑えることができなかった。僕はどうしても「もう5枚のカード」をねじ込みたかった。これらを入れてネクサスを薄めることは、モジュールのシナジーを弱め、コアがこのフォーマットを健全に保つのを阻害するが、リストの中にボルバーを投入したいという気持ちには抗えなかった。ちょうど同じように使えるカードは、他にも師匠サイクル(《陽景学院の師匠/Sunscape Master》)、アラーラの断片の戦闘魔道士サイクル(《エスパーの戦闘魔道士/Esper Battlemage》)、プレーンシフトの戦闘魔道士サイクル(《夜景学院の戦闘魔道士/Nightscape Battlemage》)、基本セット2015(訳注:誤植?)の友好色の起動型能力を持つクリーチャー(《真紅の汚水這い/Crimson Muckwader》)、タルキール覇王譚のカン(《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw》)などがある。
ボーナス!——メイルストロム・マジック | Andrew Wilson
1 《デイガボルバー/Degavolver》
1 《シータボルバー/Cetavolver》
1 《ネクラボルバー/Necravolver》
1 《ラッカボルバー/Rakavolver》
1 《アナボルバー/Anavolver》
-ボルバー(5)-
しかしながらボルバーは、必要に応じてバニラ・テスト※の失敗作として早めに戦場に出せるためこのフォーマットでは素晴らしい働きをする。そして、マナさえ——量と色のどちらも——あれば、戦場で死んだ後、再び唱え直す際にキッカー・コストをいろいろな形で支払うことができる。基本的に、キッカーを持つ呪文はその柔軟性がメイルストロムに非常に合っているし、さらに、複数の色を要求するカードは試合の方向性を面白くする。すなわちボルバーはここでは最高のカードの1つだということだ。
僕はかつて部族トーナメントでボルバーを使ったことがあるので、これらのカードには強い思い入れがある。
※……バニラ・テストとは、クリーチャーのコスト・パフォーマンスを数値的に比較しようとして考えられたもの。私が知る限りだとhttp://blackdeckwins.tumblr.com/post/129568175299/the-vanilla-testに詳しい。
実に過去4年間にわたって、僕のひどい、扱いにくい、おかしな、正気でない、二番煎じの、そして楽しいコンボの記事を読んでくれたことをみんなに感謝する。僕のアイデアが君のデッキ構築のヒントになったり、君がメイルストロムを試してくれたりすることを心から願っている。僕はもっと様々なテーマや枚数のモジュールがあれば見てみたいし、なによりこのフォーマットをプレイしてくれているところを見てみたい。
今、そして未来のいつかの時点で、僕、Andrewは言う。「下手くそ、これ僕の昔の締め方だな。」
Andrew Wilson
ソース……http://www.gatheringmagic.com/andrewwilson-051716-maelstrom-magic-the-deck-building-format/(Maelstrom Magic: The Deck-Building Format)
翻訳後記
この記事はGatheringMagic.comの電波デッキビルダー(?)であるAndrew Wilsonの、どうやら最後の記事ということらしいです。そもそもドラフト用のキューブの作り方を調べている最中に見つけたのですが、マジックをデッキ構築型ゲームとしてプレイするというアイデアに惹かれて翻訳してみました。
実は私自身も(全く別の方法で)マジックをデッキ構築型ゲームにする、というかドミニオンにするというアイデアについて考えていたことがあり、面白く読むことができました。メイルストロム・マジックのドラフト方法であるウィンストン・ドラフトについては私も含め苦手な方も多いと思うのですが、大きなパイルをドラフトすることがこの手のゲームではデメリットになるという発想は興味深いものです。それがプレイヤーに対してどれほどのストレスになるのかはわかりませんが、ウィンストン・ドラフトの改良方法としてはかなり画期的なのではないでしょうか。
いつもの通り、誤訳や誤字がありましたら指摘していただければ幸いです。
コメント
こちらの記事を読んで、居ても立ってもいられずメイルストロムでさっそく遊ばせてもらいました。とんでもないことを考える人がいるもんだと感心しましたし、こうした文章が翻訳されたこともありがたかったです。こちらの記事を参考にして、勝手にリンクも貼らせて頂いた上でメイルストロムについて自分のブログに書きましたので、簡単にご報告とお礼まで。今後もこうしたちょっと不思議な記事を楽しみにしてます。