メルヴィン的、カラデシュとからくりに関する不毛な議論(前編)
メルヴィン的、カラデシュとからくりに関する不毛な議論(前編)
メルヴィン的、カラデシュとからくりに関する不毛な議論(前編)
はじめに

corvus-abyssusの質問:あなたがからくりを完成させたとき、私たちに早めに知らせてくれますか? それともセットのプレビューまで待たなければなりませんか?

マロー:次のセットにからくりカードが入るというプレビューの日に、君は私がからくりを完成させたと知ることになるよ : )

2016年4月16日
※1


イニストラードを覆う影の次のブロックがカラデシュだと発表されたことで、かつてR&Dが未来予知で貼った伏線、からくりが収録されるのではないかという予想が早くもユーザーの間に広がっている。マローが「私が引退する前に実現すると誓う」※2と述べたこのメカニズムが存外早く実装されるかもしれないという事態に、心を踊らせる人もいれば不安を覚える人もいるはずだ。とりわけ私のように自分であれこれカードを考えることが好きなユーザーにとっては、一生かかって考えるつもりだった懸賞問題の答えがあっけなく解かれてしまったような感じで、興奮するべきか興ざめするべきかわからない不思議な心境になっている。

とはいえ、もし本当にからくりが印刷されるのであれば、現時点から9月末のカラデシュ発売までのこのわずかな期間だけが、からくりについてのアイデアを妄想できる最後の機会ということになる。そこで今回は、メルヴィンたちをおよそ10年にわたって熱狂させ続けた謎のメカニズム、からくりについて書くことにしよう。

※1……http://markrosewater.tumblr.com/post/142926534483/when-you-solve-contraptions-could-you-tell-us
※2……http://markrosewater.tumblr.com/post/142933160653/as-a-relatively-new-player-to-the-magic-scene

そもそも本当にからくりは収録されるのか

この問いは今回のポストの内容を根本から否定しているものの、重要なことなので最初に触れねばなるまい。ご存知の通りカラデシュはマジック・オリジンで初めて公開された次元で、科学技術が発達したスチームパンク的世界だ。マジック・オリジンにおけるメカニズム的特徴は飛行機械・トークンであり、アーティファクトとシナジーを形成する非アーティファクトのクリーチャーが多いという点がどことなく《蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss》を彷彿とさせなくもない。

一見するとカラデシュはからくりを収録する最適の場所のように思えるが、実際にはいくつかの問題がある。たとえば、ユーザーが愛してやまない《蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss》はゴブリンであるにもかかわらず、カラデシュを描いたチャンドラのオリジン・ストーリー※3には一切のゴブリンが登場しない。そのため、カラデシュ自体にゴブリンが存在しない可能性がある。加えて、マジック・オリジンで登場したカラデシュのクリーチャーたちには《蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss》がテキストで参照している装具工というクリーチャー・タイプのカードがない。

もちろん、ゴブリンはストーリーやカードに登場していないだけで本当はカラデシュに存在するとも考えられるし、クリーチャー・タイプや世界観の不一致に関しては、マローがからくりを実装することを最優先にして《蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss》を切り捨てたという可能性もある(未来予知のタイムシフト・カードは必ずしもそのままの形で再録されるとは限らない)。

しかし、こうしたフレイバー的問題をすべて脇に置いたとしても、からくりとカラデシュにはメカニズム的な不調和が残る。マジック・オリジンで使われたメカニズムを踏襲するならば、少なくとも青と赤のカードには飛行機械・トークンを出すカードが存在するはずで、それがリミテッドのアーキタイプになっている可能性が高い。そのため仮にからくりを赤のカードとして収録した場合、カラデシュの赤のカードプールにはリミテッドのための2つの独立したメカニズムがあることになり、それを実現可能にするためのカードだけでスロットの大部分が埋まってしまうおそれがある。

さらに、ユーザー間でからくりがアーティファクト・トークンを出す能力に違いないと予想されていることも重要な点だ。もはや1つのセットにおびただしい種類のトークンが登場するのはありふれた光景になってきたが、それでもやはりよく似たアーティファクトのトークン・カードを何種類も使い分けなければならないのはプレイアビリティの面で問題があるといえる。百歩譲ってそれに目をつぶったとしても、トークンを出すメカニズムのうち「からくりを組み立てる(assemble a Contraption)」だけがキーワード処理で、他はそうではないという奇妙な非対称性は拭うことができない。

※3……http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0015168/#(チャンドラの「オリジン」:炎の道理/Chandra’s Origin: Fire Logic)

ありうべき未来

もっとも、こうしてからくりが収録されないと思われる理由をいくつも挙げてみたところで、カラデシュのプレビューで《蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss》が公開されてしまえばそれで終わりなのであって、収録されるのか否かという議論は本質的に無意味なものだ(《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》がリークされたとき、それがフェイクであると断言したユーザーも多かった)。

私自身は、現時点においてからくりが収録される可能性はちょうど50%といったところで、正直どちらとも言えないと思っている。からくりの収録を否定せざるをえない状況証拠がある一方で、同じくらいからくりがこの次元にふさわしいのも事実であり、どちらも同程度に妥当に感じられる。

唯一確かなのは、実際にからくりのプレビューが行われた後では、からくりがどんなメカニズムでありうるのかという(火星人の姿を想像するのにも似た)想像の楽しみが失われてしまうということだ。からくりはカラデシュには登場しないのかもしれないが、マローの確約を信じる限り遅かれ早かれ印刷される運命にあることは変わりない。たとえ今回私がからくりについて書くことを控えたとしても、また来たるべき日には大嵐の前の準備のようにからくりについての記事を書くことを強いられるだろう。ばかげた話に思われるかもしれないが、火星人の姿を予想することが趣味の人にとっては、大事なことは予想を的中させることではなく、予想することそれ自体なのだ。

すでに想像に難くないように、私はカラデシュの新情報に急かされるようにしてこのポストを書いている。明日には世界のどこかのGPの参加賞が解禁され、歩行機械に乗ったゴブリンのイラストのプレイマットやデッキボックスが公開されるかもしれない!

(中編に続く)

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