ロボローズウォーターを知っていますか(前編)
2016年4月21日 Magic: The Gathering
少し前にGoogleのエンジニアが開発した絵を描くAIが話題になりましたが、これにも使われていたニューラルネットワークと呼ばれる情報処理システムでAIにマジックのカードを作らせようという試みが存在します。@RoboRosewaterというTwitterアカウントがそれで、そこには2015年の7月からAIがデザインしたカードが投稿され続けています。
IT関係の素養が全くないのではたしてこのAIが人間並みに成長していくのかどうかはよくわからないのですが、現状の「ほどよい頭の悪さ」ゆえに人間には作れない興味深いカードをデザインしていると思うので、このロボローズウォーター(と、それがデザインしたカード)について書いてみようと思います。
この記事を書くにあたって先行する日本語記事を探してみたところ、それらしいものが全然見当たらなかったので、前編ではひとまずこのAI誕生の経緯が詳しく載っている海外サイトの記事を翻訳しておきます。誤訳や誤字、コンピュータ用語の間違いなどありましたら指摘していただければ幸いです。
ニューラルネットワークがカードをデザインするという笑える話
Ed Grabianowski
あなたが今まで作られたマジックのカードのテキストを深層ニューラルネットワークに与えて、それにカードを作ってくれるよう頼むとき、何が起こるだろうか? ある部分は天才的で、またある部分は意味不明——そしておそらく少しだけ詩的だ。しかし大抵の場合、それはあなたを死ぬほど笑わせてくれる。
ニューラルネットワークのプロジェクトは(訳注:2015年の)6月上旬に、Talcoと名乗るユーザーがMTGSalvationのフォーラム※1にこのようなことを投稿して始まった。
AIが創造したカードの中には、もしあなたがほんの少しでもマジックのルールを知っていればよりいっそう笑えるものもある。だが、いくつかのものは単純なばかげたワードサラダ(訳注:コンピュータによって自動生成された支離滅裂な文章のこと)の積み重ねだ。例を挙げよう。
それらのカードにはマジックのルール内で適切に機能するが、完全にナンセンスなことをするものもある。こんな能力を持ったカードのように。
(3),:あなたのマナ・プールに(2)を加える。
たとえあなたがマジックについて何も知らないとしても、何か三つを支払って全く同じものを二つ得るというのがひどい仕打ちであることは理解できるだろう。
しかし、TwitterアカウントがAIのデザインを視覚化し始めたとき、事態は本当に興味深いものになった。Twitterのハンドルネーム@RoboRosewater※4(現在のR&Dのトップである人物、マーク・ローズウォーターにちなんでいて、彼自身AIについてのジョークを述べている)を使用して、毎日新しいカードを投稿している。中には素晴らしいものもある。
私たちは《タルモゴイフ/Tarmogoyf》のために、《Tark’s Flowstork》を両方のカード・タイプとしてカウントするようルールを変更する必要がある。
いくつかのカードはボノとロニー・ジェイムス・ディオが共作した歌のような響きを持っている。
「エェェェェェェンジェルゥゥゥゥゥゥデザァァァァァァァイヤァァァァァァア」
「気をつけろ! コウモリ・ウィザードだ!」
わずかながら本当によいマジックのカードもある。たぶんよすぎるカードもある。何が言いたいのかというと、モインテンスポークはよくはないが、素晴らしくよいということだ。
待ってくれ、「ホール・苗木」だって?(訳注:Thallidの一部?)
ときおりAIが私たちを明らかに引っ掛けようとしていることがある。このカードのテキストの最後を慎重に読むように。
ときには単に失敗する。
ソース……http://io9.gizmodo.com/a-neural-network-designs-magic-the-gathering-cards-an-1719184054(A Neural Network Designs Magic: the Gathering Cards, and It’s Hilarious)
※1……http://www.mtgsalvation.com/forums/creativity/custom-card-creation/612057-generating-magic-cards-using-deep-recurrent-neural
※2……http://karpathy.github.io/2015/05/21/rnn-effectiveness/
※3……http://mtgjson.com/
※4……https://twitter.com/RoboRosewater
(後編に続く)
IT関係の素養が全くないのではたしてこのAIが人間並みに成長していくのかどうかはよくわからないのですが、現状の「ほどよい頭の悪さ」ゆえに人間には作れない興味深いカードをデザインしていると思うので、このロボローズウォーター(と、それがデザインしたカード)について書いてみようと思います。
この記事を書くにあたって先行する日本語記事を探してみたところ、それらしいものが全然見当たらなかったので、前編ではひとまずこのAI誕生の経緯が詳しく載っている海外サイトの記事を翻訳しておきます。誤訳や誤字、コンピュータ用語の間違いなどありましたら指摘していただければ幸いです。
ニューラルネットワークがカードをデザインするという笑える話
Ed Grabianowski
あなたが今まで作られたマジックのカードのテキストを深層ニューラルネットワークに与えて、それにカードを作ってくれるよう頼むとき、何が起こるだろうか? ある部分は天才的で、またある部分は意味不明——そしておそらく少しだけ詩的だ。しかし大抵の場合、それはあなたを死ぬほど笑わせてくれる。
ニューラルネットワークのプロジェクトは(訳注:2015年の)6月上旬に、Talcoと名乗るユーザーがMTGSalvationのフォーラム※1にこのようなことを投稿して始まった。
私は、深層ニューラルネットワークを等級審査や問題解決処理のために使用することについて研究してきたコンピュータサイエンス博士候補の研究者です。私は任意のデータから新規配列を作成するようニューラルネットワークに訓練させることについての面白い論文を読みました。たとえば、あなたがネットワークにシェイクスピアを何度も何度も読ませると、最終的にはニューラルネットワーク自身がシェイクスピアのスタイルで文章を書くことができるようになるのです。それを見て私はこう思いました。「ちょっと待て、それならシェイクスピアの代わりにマジックのカードならどうだろうか?」そこで、そのソースコード※2とマジックのカードのJSONコーパス※3をダウンロードしました。何か新しいカードを作れるようになることを期待して、私は今まで作られたすべてのマジックのカードを深層ニューラルネットワークに与えようと思います。
AIが創造したカードの中には、もしあなたがほんの少しでもマジックのルールを知っていればよりいっそう笑えるものもある。だが、いくつかのものは単純なばかげたワードサラダ(訳注:コンピュータによって自動生成された支離滅裂な文章のこと)の積み重ねだ。例を挙げよう。
Slidshocking Krow (青)
クリーチャー — ドラゴン
トロンプル(Tromple)、モインテンスポーク(Mointainspalk)
4/2
それらのカードにはマジックのルール内で適切に機能するが、完全にナンセンスなことをするものもある。こんな能力を持ったカードのように。
(3),:あなたのマナ・プールに(2)を加える。
たとえあなたがマジックについて何も知らないとしても、何か三つを支払って全く同じものを二つ得るというのがひどい仕打ちであることは理解できるだろう。
しかし、TwitterアカウントがAIのデザインを視覚化し始めたとき、事態は本当に興味深いものになった。Twitterのハンドルネーム@RoboRosewater※4(現在のR&Dのトップである人物、マーク・ローズウォーターにちなんでいて、彼自身AIについてのジョークを述べている)を使用して、毎日新しいカードを投稿している。中には素晴らしいものもある。
Tark’s Flowstork (白)(青)(青)(黒)
インスタント
Tark’s Flowstorkはソーサリーを唱えられるときにのみ唱えられる。
私たちは《タルモゴイフ/Tarmogoyf》のために、《Tark’s Flowstork》を両方のカード・タイプとしてカウントするようルールを変更する必要がある。
Angel Desire (青)
クリーチャー — コウモリ・ウィザード
Angel Desireが戦場に出たとき、あなたのライフが10点以下である場合、飛行を持つ緑の1/1の猫・クレリック・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。
1/1
いくつかのカードはボノとロニー・ジェイムス・ディオが共作した歌のような響きを持っている。
「エェェェェェェンジェルゥゥゥゥゥゥデザァァァァァァァイヤァァァァァァア」
「気をつけろ! コウモリ・ウィザードだ!」
Impetufle Randor (2)(青)(青)
クリーチャー — ドワーフ・兵士
飛行、速攻
Impetufle Randorが死亡したとき、2/2のホール(hall)・苗木・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。そうしたなら、カードを1枚引く。
2/3
わずかながら本当によいマジックのカードもある。たぶんよすぎるカードもある。何が言いたいのかというと、モインテンスポークはよくはないが、素晴らしくよいということだ。
待ってくれ、「ホール・苗木」だって?(訳注:Thallidの一部?)
Yiving Citemester (黒)
クリーチャー — 人間・スカウト
トランプル
(1)(青)(黒):Yiving Citemesterをアンタップする。
Yiving Citemesterが戦場からあなたの墓地に置かれたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。その後あなたのライブラリーを切り直す。
1/1
ときおりAIが私たちを明らかに引っ掛けようとしていることがある。このカードのテキストの最後を慎重に読むように。
Exgo the Rickers (2)(青)(青)
伝説のクリーチャー — ドラゴン
Horshers(クリーチャー1体が墓地に置かれたあなたが唱えるたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。それはこのターン6点のダメージを与える。この能力はそれがアーティファクト1つにつきあなたのマナ・プールに共通の色を持つ望む数のクリーチャーをブロックできるときにのみ起動できる。)
2/2
ときには単に失敗する。
ソース……http://io9.gizmodo.com/a-neural-network-designs-magic-the-gathering-cards-an-1719184054(A Neural Network Designs Magic: the Gathering Cards, and It’s Hilarious)
※1……http://www.mtgsalvation.com/forums/creativity/custom-card-creation/612057-generating-magic-cards-using-deep-recurrent-neural
※2……http://karpathy.github.io/2015/05/21/rnn-effectiveness/
※3……http://mtgjson.com/
※4……https://twitter.com/RoboRosewater
(後編に続く)
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